地域ブランドを保護する制度として、「地域団体商標制度」があります。

地域団体商標制度とは、地域の歴史が詰まった地域ブランド名について商標登録する制度であり、地域の名称及び商品(サービス)の名称からなる文字商標を登録の対象とします。佐賀県では「小城羊羹」「唐津焼」「うれしの茶」などが登録されており、地域ブランドの保護を通じて地域経済の活性化が期待されます。

地域団体商標制度とは|経済産業省 特許庁 より引用

2006年の制度導入以降、地域団体商標は計814件登録されており(2022年9月22日現在)、今も定期的に登録事例が増えています。しかし、商標登録されていても、全国的には知名度の低い地域ブランドが多く存在しているのが現状です。それは、私達が日本の魅力を味わいきれていないことを意味します。

そこで今回は、地域団体商標の活用方法やその意義を紹介するとともに、地域ブランドの育て方についても検討していきます。

諸富家具振興協同組合オフィシャルサイト より引用

地域団体商標として登録されている伝統工芸「諸富家具」を事例とし、「こちら葛飾区亀有公園前派出所(以下、こち亀)」のお話を参考としました。こち亀は日常のあらゆるシーンが詰まった文化的史料であり、知的財産の観点においても大いにヒントが隠されているためです。

それでは早速みていきましょう。

1.「諸富家具」を各社製品に使用する~相互に協力して商標に信用を蓄積~

  • こち亀概要(コミック第87巻「両津タウン改造計画!の巻」)
    持ち前の行動力や交渉力を活かして亀有西町会の町会長代理になった両さんは、数々のアイデアを通じて商店街を活性化させていく。町内会名も「さわやか町会」に改め、名産を作って財政基盤を固める方針を打ち出し、共通して「さわやか町会」の文字を大きく表示した商品群を構想していくのであった。

コミック第87巻 P106 より引用

新たな名産として掲げた「ワイン」や「米」のラベルには「さわやか町会」の文字が使用され、「さわやか町会」は商品の出所を示す商標の役割を持つと言えます。

商品のラベル等に商標を表示することで、顧客のリピート購入にも繋がります。過去に「さわやか町会」表示のある商品を購入して満足した場合、その体験を再び得るべく「さわやか町会」の表示がある商品を自然と選ぶことに繋がるためです。

これは「さわやか町会」という文字に信用が蓄積されていることを意味します。商標=顧客の信用を貯める「バケツ」 と考えると、イメージしやすいかもしれません。

バケツには信用の水が蓄積 = ブランド力が向上

では、商品群において共通して「さわやか町会」を表示することは、どの様な意味があるでしょうか?

答えは「関係者全員で1つのバケツに水(信用)を貯めることができる」ということです。

例えばワインの味や購入体験が素晴らしければ、同じ「さわやか町会」なる表示がなされた他の商品にも良い印象を与えることでしょう。皆が協力して信用を貯めることで、相互にメリットがあるということになります。

前置きが長くなりましたが、地域団体商標においても同様です。

商標登録第6554002号

組合員が商標「諸富家具」を使用し、顧客に対して商品・サービスを提供することで、「諸富家具」には信用が蓄積されていきます。そして組合員が相互に協力して「諸富家具」への信用を高めることで、地域ブランドとして成長し、各組合員の事業にも良い影響を及ぼすこととなるのです。

ガイドラインに沿って適切に商標を使用し、組合員一丸となってブランドを育て、伝統工芸「諸富家具」が未来へと伝承されることを陰ながら期待しております。

次回は、こち亀を参考としつつ、地域ブランドを育てるための具体的な取り組みについて紹介します。お楽しみに。

佐賀県の地域ブランドを育てるための無料セミナーを始めました!
(2022年10月7日更新)

詳細は、以下の特設ページをご覧ください。

Uchida

Uchida

義理の両親が佐賀在住。世の中の製品やサービスに関する知的財産の情報を調査することが趣味。電機メーカー知財部&化学メーカー知財部での業務経験や趣味を活かした記事の提供を模索中。こち亀と伝統工芸が好き。弁理士試験合格(未登録)/ 観光特産士3級合格。

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