こち亀シリーズ第8弾です。
これまで、佐賀県が誇る伝統工芸「諸富家具(リンク)」「有田焼(リンク)」や、西九州新幹線開業に沸く武雄市の「武雄温泉(リンク)」「西川登竹細工(リンク)」「弓野人形(リンク)」、シュガーロードの代表的銘菓「小城羊羹(リンク)」を取り上げました。
今回のテーマは「佐賀県太良町」。干満差が日本一を誇る有明海に臨む町です。
潮の満ち引きは月の引力が関係することから、太良町は ”月の引力が見える町” として知られています。月の引力は本来見えるはずのないものですが、土地の特長が表現された素敵なキャッチフレーズですね。
ところで地域ブランドと聞くと、飲食物や伝統工芸等、地域の特産品や名産品をイメージする方が多いかもしれません。しかし土地柄自体も地域ブランドであり、観光資源となり得ます。
今回は、街の特長を活かした地域ブランド・地域活性化について考えてみましょう。
街の特長自体が地域ブランドであり、人が集まる元となる
- こち亀概要(コミック第184巻「亀有アフリカ村の巻」)
本田に連れられて新大久保を訪れた両津。韓流アイドルブームに沸く新大久保を体験し、亀有を活性化させるアイデアを思いつく。両津はすぐさま亀有の町会長の元へ提案に行き、町おこしに精を出すのであった。
こち亀コミック第184巻 P156 より引用
新大久保の盛況について語り合う派出所メンバー達。中川から、新大久保駅の乗降客数が急激に伸びた(*)との情報を聞き、街の特長を活かした町おこしへと話が発展します。
(*) 新大久保駅 -Wikipedia に記載されたデータ(出典:東京都統計年鑑)によれば、新大久保駅の一日平均乗車人数は、2009年:34,783人、2010年:37,344人、2011年:42,433人、2012年:41,545人と、人数が急に伸びている。
韓流ショップや韓国料理店が多い土地柄、世間で韓流ブームが訪れると、必然的に新大久保へ行く人の数が増えそうですよね。そして比較的多く集まると予測できる「若者」や「女性」をターゲットとした他のビジネス展開へと応用することも可能になります。
地域の特長には人の動員力があり、そこから派生して様々なビジネスが展開され、観光資源となり、また人が集まる・・といった循環が期待できそうです。地域ブランドを育てるにあたって、素敵な好循環といえます。
では、起点となる「地域の特長」について、どの様に考えたらよいでしょうか?反面教師として、こち亀の続きを見ていきましょう。
脈絡のない突飛な取り組みは「地域ブランド」にはなり得ない
- こち亀概要(コミック第184巻「亀有アフリカ村の巻」)
両津は町おこしに向け「亀有アフリカ村」を提案。「アフリカ村はまだ無い」ことや、「子供は動物が好き」だから着ぐるみのイベントをやるとのこと。メディアへの売り込みが上手なのでオープン当初は盛り上がりを見せるが、次第に陰りが出て・・・。
こち亀コミック第184巻 P157 より引用
たしかに「アフリカ村」は日本に存在せず、そして一般的に着ぐるみは子供に人気でしょう。しかし町会長の「珍しいだけでやるのか?」というセリフが全てを物語っています。何の脈絡や文脈もなく突飛な取り組みをしても、顧客の心を長く掴むことは難しいものです。つまり、ブランドとして育つことには繋がりません。
顧客にも愛着を感じてもらい、何かをブランドとして育てるためには、やはり「一貫性」「らしさ」といった観点が大事となります。
その点、太良町には唯一無二の「らしさ」が存在するといえるでしょう。
佐賀県太良町の地域ブランド「月の引力が見える町」
冒頭で紹介したとおり、太良町は、有明海の干満差を「月の引力が見える」と表現した素敵な町です。どこか神秘性があり、自然と観光へ訪れたくなる魅力を感じます。
太良町においては「竹崎カキ」や「たらみかん」といった特産品がありますが、有明海に面した土地自体も地域ブランドです。地球規模の余程の事態が起きない限り、安心できる貴重な観光資源といえるのではないでしょうか。
近々、是非1度太良町を訪れてみたいと思います。
特急列車「かもめ」から眺める有明海(2018年12月撮影)
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